第4章 統計・推定・検定(統計数理基礎)
DS検定の尺度水準の違いと見分け方
DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストの統計数理基礎には、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度の違いを説明できることが★1つ星として入っています。尺度水準は、データの値にどこまでの意味があるかを4段階で分けた考え方です。このページでは、血液型・満足度・気温・身長の例で、見分け方と、使える計算の違いを確かめます。尺度が変わると、意味のある計算が変わります。
このページは試験の学習用の整理です。数字はすべて説明用の架空の値です。
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結論
- 名義尺度は区別だけ、順序尺度は大小まで、間隔尺度は差まで、比例尺度は比まで意味がある
- 間隔尺度と比例尺度は、値0が「なし」を表すかで見分ける。気温(摂氏)は間隔尺度、身長は比例尺度
- 使える代表値は、名義尺度なら最頻値、順序尺度なら中央値まで、間隔尺度以上なら平均も使える
- 名義尺度の変数は、数値として計算せず、ダミー変数に変換して使う
4つの尺度の見分け方
4つの尺度は、下に行くほど、使える意味が増えます。表の「できること」は、その尺度で意味のある比べ方です。
| 尺度 | 特徴 | 例 | できること | できないこと |
|---|---|---|---|---|
| 名義尺度 | 区別するためのラベル | 血液型(A・B・O・AB)、支店名 | 同じか違うか | 大小・差・比 |
| 順序尺度 | 順序に意味がある | 満足度(1〜5)、順位 | 大小の比較 | 差が等しいとは限らない |
| 間隔尺度 | 目盛りの間隔が等しい | 気温(摂氏)、西暦 | 差 | 比(0が「なし」でない) |
| 比例尺度 | 0が「なし」を表す | 身長、売上、重さ | 差と比 | 特になし |
見分けるときは、次の順に問います。値に順序があるか、差に意味があるか、0が「なし」か、の3つを順に確かめます。順序がなければ名義尺度、順序はあるが差が等しいと言えなければ順序尺度です。差に意味があって0が「なし」でなければ間隔尺度、0が「なし」なら比例尺度です。
使える代表値
5人に商品の満足度を、1(不満)から5(満足)で答えてもらい、1、1、2、5、5という結果になったとします。満足度は順序尺度です。
- 最頻値:1と5がどちらも2人で、最頻値は1と5の2つ
- 中央値:小さい順に並べた真ん中の値で、2
- 平均:(1+1+2+5+5)÷5=2.8
順序尺度では、1から2への差と、2から5への差が等しいとは言えません。そのため、厳密には中央値までが意味のある代表値で、平均は「間隔が等しい」とみなしたときの参考値です。名義尺度なら最頻値、順序尺度なら中央値まで、間隔尺度と比例尺度なら平均も使えます。血液型のような名義尺度では、最頻値(いちばん多い血液型)しか意味がありません。
比に意味があるか
間隔尺度と比例尺度の違いは、比に意味があるかです。気温(摂氏)で確かめます。摂氏10度と20度を、華氏に直すと、華氏=摂氏×9÷5+32なので、10度は50度、20度は68度です。
- 摂氏で比べると、20÷10=2倍
- 華氏で比べると、68÷50=1.36倍
同じ2つの気温なのに、単位を変えると比が変わります。0が「なし」でない間隔尺度では、「2倍暑い」という言い方に意味がありません。一方、身長は、100cmと200cmの比が2倍で、単位をインチに変えても2倍のままです。0cmが「長さがない」ことを表す比例尺度だからです。差(20−10=10度)は、どちらの単位でも意味があります。
会員データで分類してみる
ある店の会員データに、次の6つの項目があるとします。先ほどの3つの問い(順序があるか、差に意味があるか、0が「なし」か)で、尺度を決めます。
- 会員番号:順序も差も意味がなく、ただ会員を区別するための番号なので、名義尺度。数字でも名義尺度になる点に注意
- 会員ランク(ブロンズ・シルバー・ゴールド):順序はあるが、ランク間の差が等しいとは言えないので、順序尺度
- 入会年(西暦):差は意味があるが、0年が「なし」ではないので、間隔尺度
- 先月の来店回数:0回が「来店なし」を表すので、比例尺度
- 先月の購入金額:0円が「購入なし」を表し、2倍・半分にも意味があるので、比例尺度
- 居住都道府県:順序がないので、名義尺度
数字で書かれていても、会員番号のように区別のためだけの数字は名義尺度です。数字かどうかではなく、その数字にどこまでの意味があるかで尺度を決めます。なお、名義尺度と順序尺度は、数えたり分けたりする質的な項目です。間隔尺度と比例尺度は、量を測る量的な項目として扱います。
名義尺度とダミー変数
公式チェックリストのデータ加工には、名義尺度の変数をダミー変数に変換できることも★1つ星として入っています。支店名のような名義尺度を、東京を1、大阪を2、名古屋を3と置き換えると、「名古屋は東京の3倍」「大阪は東京と名古屋の平均」のような、意味のない計算ができてしまいます。
名義尺度は、順序や大小を持たせず、0か1のダミー変数に分けて使います。数字の置き換えをしない理由は、名義尺度には大小も差もないからです。ダミー変数の作り方と計算例は、データクレンジングのページで確認できます。
DS検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で、尺度水準はどこまで必要ですか?
公式スキルチェックリスト(data_science.csv)の統計数理基礎で★1つ星なのは、名義尺度、順序尺度、間隔尺度、比例尺度の違いを説明できることです。名義尺度の変数をダミー変数に変換できることも、データ加工の★1つ星に入っています。
間隔尺度と比例尺度は、どう見分けますか?
値が0のとき「なにもない」を表すかで見分けます。身長0cmや売上0円は「なし」なので比例尺度で、「2倍」「半分」といった比に意味があります。摂氏0度は「温度がない」ではなく、基準の位置にすぎないので間隔尺度です。
満足度の5段階の平均は、出してはいけませんか?
順序尺度の厳密な扱いでは、平均は求めません。実務では、段階の間隔が等しいとみなして平均を使うことも多くあります。その場合は、みなしていることを分かったうえで使います。順序だけを示したいときは、中央値や、各段階の人数の分布を見ます。
なぜ尺度を区別するのですか?
尺度によって、意味のある計算が変わるからです。血液型を1・2・3・4と数字に置き換えても、その平均に意味はありません。尺度を見分けると、使える代表値や、必要な変換が決まります。
