用語比較
SVMの線形カーネルとRBFカーネルの違い|類似度の式と、γ・Cの役割を数値例で比較(G検定)
SVM(サポートベクターマシン)のカーネルは、2つのデータ点がどれだけ似ているかを測る関数です。線形カーネルは内積、RBFカーネルは距離が離れるほど小さくなる値で類似度を測ります。
scikit-learn公式ドキュメントは、カーネルとして線形、多項式、RBF、シグモイドを挙げています。RBFカーネルの式は exp(−γ‖x−x'‖²)(γ>0)です。
G検定の機械学習の「代表的な手法」にはSVMが出ます。このページでは、2つのカーネルの式を数値で計算し、調整項目のCとγが何を決めるのかを確かめます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。G検定の一次情報確認日: 2026-10-02。
結論
線形カーネル
2点の内積 ⟨x,x'⟩ を類似度にする。決定境界は直線(高次元では平面)になる。
RBFカーネル
exp(−γ‖x−x'‖²)。2点が近いと1に近く、離れると0に近づく。
CとγのRBFでの役割
Cは誤分類と決定面の単純さのトレードオフ。γは1つの訓練例の影響の及ぶ範囲を決め、大きいほど近い例にしか影響しない。
違いを表で確認
| 比較軸 | 線形カーネル | RBFカーネル |
|---|---|---|
| 類似度の式 | 線形カーネル:内積 ⟨x,x'⟩ | RBFカーネル:exp(−γ‖x−x'‖²)(γ>0) |
| 値の動き | 線形カーネル:向きと大きさで決まり、距離とは単純に対応しない | RBFカーネル:距離が0なら1、離れるほど0に近づく |
| 主な調整項目 | 線形カーネル:C | RBFカーネル:Cとγの2つ |
| 決定境界の形 | 線形カーネル:直線(超平面) | RBFカーネル:曲がった境界も作れる |
G検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
どこで迷っているかを切り分ける
「カーネル」が何をする関数なのか分からない人
2つのデータ点の類似度を返す関数です。SVMはこの類似度を使って、決定境界を作ります。
γを大きくするとどうなるか、逆に覚えてしまう人
公式ドキュメントは、γは1つの訓練例の影響の大きさを決め、γが大きいほど、影響を受けるには他の例が近くにある必要があると述べています。大きいほど「狭い範囲だけ」に効きます。
Cとγのどちらが何の調整か混ざる人
Cはどのカーネルにも共通で、誤分類と決定面の単純さのトレードオフです。γはRBFのカーネルの式の中にあり、類似度の減り方を決めます。
具体例で使い分ける
例 1
線形カーネル:内積で類似度を出す
2点 x=(1,2)、x'=(3,1) です(架空の値)。
- 内積は 1×3+2×1=3+2=5 です。
結論: 線形カーネルの値は5です。点の座標の大きさが変わると、値も変わります。
例 2
RBFカーネル:γ=1で、距離の2乗が1と4の点を比べる
基準の点 (0,0) に対し、点 (1,0) は距離の2乗が1、点 (2,0) は距離の2乗が4です。
- 距離の2乗が1の点:exp(−1×1)=exp(−1)≒0.368です。
- 距離の2乗が4の点:exp(−1×4)=exp(−4)≒0.018です。
結論: 距離が2倍の点の類似度は、0.368から0.018へ大きく下がります。距離0の点は、exp(0)=1です。
例 3
γを0.5にすると、減り方がゆるやかになる
同じ2点を、γ=0.5で計算します。
- 距離の2乗が1の点:exp(−0.5×1)=exp(−0.5)≒0.607です。
- 距離の2乗が4の点:exp(−0.5×4)=exp(−2)≒0.135です。
結論: γが小さいと、離れた点にも類似度が残ります(0.018→0.135)。γが大きいほど、近い点にしか影響が及びません。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
カーネルの式を見る
内積なら線形カーネル、exp(−γ‖x−x'‖²)ならRBFカーネルです。
- 2
問われているパラメータを結びつける
Cは全カーネル共通の、誤分類と単純さのトレードオフです。γはRBFで類似度の減り方を決めます。
- 3
大小の向きを確かめる
Cが低いと決定面は滑らかに、高いとすべての訓練例を正しく分けようとします。γが大きいほど、近い例にしか影響しません。
試験での見分け方
- 1線形カーネルは内積、RBFカーネルはexp(−γ‖x−x'‖²)。
- 2RBFカーネルの値は、距離0で1、離れるほど0に近づく。
- 3Cが低いと決定面は滑らか、高いとすべての訓練例を正しく分けようとする。
- 4γが大きいほど、影響を受けるには他の例が近くにある必要がある。
誤答しやすい選択肢
γを大きくすると影響の範囲が広がると覚える
修正: 逆です。γが大きいほど、近い例にしか影響しません。例の計算では、γが1のとき距離の2乗が4の点の値は0.018、0.5のときは0.135です。
RBFカーネルの値が距離とともに大きくなると考える
修正: 式にマイナスが付いているので、距離が大きいほど値は小さくなります。距離0で最大の1です。
Cをカーネルごとの別のパラメータと考える
修正: 公式ドキュメントは、Cは全てのSVMカーネルに共通だと述べています。
線形カーネルでも曲がった境界が作れると考える
修正: 線形カーネルの境界は直線(超平面)です。曲がった境界が必要なときは、RBFなどの非線形カーネルを使います。
確認問題
Q1x=(1,2)、x'=(3,1)の線形カーネルの値は?
答え: 5
1×3+2×1=5です。
Q2距離0の2点のRBFカーネルの値は?
答え: 1
exp(0)=1です。
Q3γ=1、距離の2乗が1のとき、RBFカーネルの値は?
答え: 約0.368
exp(−1)です。
Q4γを大きくすると、影響を受けるために他の例はどうなる必要がある?
答え: より近くにある必要がある
γが大きいほど、1つの訓練例の影響は狭い範囲に限られます。
Q5Cが低いと、決定面はどうなる?
答え: 滑らかになる
高いCは、すべての訓練例を正しく分類しようとします。
到達チェック
- 線形カーネルとRBFカーネルの式を書ける
- RBFカーネルの値が距離とともに下がる向きを説明できる
- γが大きいときの影響範囲の向きを間違えない
- Cがカーネル共通のパラメータだと言える
関連ページで確認する
同じ資格で次に知りたいこと
- 勾配ブースティングとランダムフォレストの違い|木の作り方と予測の合わせ方(G検定)
ランダムフォレストは木を独立に作って予測を平均し、勾配ブースティングは木を1本ずつ足して前の誤差を埋めます。3件のデータで残差が26から8に減る手計算と、学習率・木の数の役割を並べて確かめます。
- 特許の新規性と進歩性の違い|特許法29条1項と2項の条文で比較(G検定)
特許の新規性は特許法29条1項(出願前に公知・公然実施・刊行物記載の発明は特許を受けられない)、進歩性は29条2項(通常の知識を有する者が容易に発明できたときは特許を受けられない)です。条文の構造と、30条の1年の例外を事例で整理します。
- リスクベースアプローチとアジャイル・ガバナンスの違い|対策の強さと見直しの回し方で見分ける(G検定)
リスクベースアプローチとアジャイル・ガバナンスの違いを、総務省・経済産業省のAI事業者ガイドライン(第1.2版)の記述で整理。対策の程度をリスクの大きさに合わせる考え方と、環境・リスク分析から評価までのサイクルを回し続ける考え方の区別を、確認問題つきで確認します。
よくある質問
Q線形カーネルとRBFカーネルの違いは?
線形カーネルは内積、RBFカーネルはexp(−γ‖x−x'‖²)で2点の類似度を測ります。RBFは距離が離れるほど値が0に近づきます。
QSVMのγは何を決める?
RBFカーネルで、1つの訓練例の影響の及ぶ範囲です。γが大きいほど、近い例にしか影響しません。
QSVMのCは何を決める?
誤分類と決定面の単純さのトレードオフです。低いCは決定面を滑らかにし、高いCはすべての訓練例を正しく分類しようとします。
次に見る比較
- G検定・DS検定・統計検定2級で重なる用語10語の比較
同じ名前の用語の定義と収録章を、資格ごとに並べます。
- ベイズの定理と条件付き確率の違い(統計検定2級の式と計算例)
求める確率の向きの違いと、陽性になる確率の計算例を確かめます。
- 紛らわしい用語ペア早見表
混同しやすい用語の違いと判定の手掛かりを、資格別の一覧で確かめます。
執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
