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用語比較

正解率とF値(F1)の違い|偏ったデータでF1を見る理由(G検定・DS検定)

正解率は全体のうち正しく当てた割合で、F値(F1)は適合率と再現率の調和平均です。違いは、真陰性を数に入れるかどうかです。正解率は真陰性も正解に数えますが、F1は真陽性・偽陽性・偽陰性だけで決まり、真陰性は式に出てきません。

そのため、陽性がごく少ないデータでは、陽性を1件も見つけられないモデルでも正解率は高く出ます。全体の当たりやすさは正解率、陽性を見つける力はF1と分けて読むと、設問の選択肢を落ち着いて判断できます。

このページは、scikit-learn公式ドキュメントの評価指標の説明と、教科書『Deep Learning』の性能指標の節をもとに、式・数値の動き・使い分けの3点で比べます。適合率と再現率の違い自体は別のページで扱います。

この記事の根拠と出典

各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。DS検定の一次情報確認日: 2026-10-02。

結論

正解率

全体のうち、正しく予測できた割合。混同行列では (真陽性+真陰性) を全件数で割る。誤り率は同じ情報の裏返し。

F値(F1)

適合率と再現率の調和平均。真陽性をtp、偽陽性をfp、偽陰性をfnとすると 2tp/(2tp+fp+fn) と書ける。真陰性は式に入らない。

使い分け

クラスの割合が近く、誤りの重さが同じなら正解率が読みやすい。陽性が少なく、陽性を見つけることが目的ならF1や、適合率・再現率を並べて見る。

違いを表で確認

比較軸正解率F値(F1)
何を測るか正解率:正しい出力を出した例の割合。分類の性能指標としてよく測られるF1:適合率(陽性と予測したうちの正解)と再現率(実際の陽性のうち見つけた割合)の両方を1つにまとめた値
式正解率:(tp+tn) ÷ (tp+tn+fp+fn)F1:2tp ÷ (2tp+fp+fn)。適合率と再現率の調和平均と一致する
真陰性(tn)の扱い正解率:分子にも分母にも入る。陰性が大量にあると値が高くなりやすいF1:式に入らない。陰性側がどれだけ増えても値は変わらない
値のまとめ方正解率:単純な割合。どのクラスを陽性とみなすかを入れ替えても値は変わらないF1:調和平均なので、適合率か再現率の低いほうに引きずられる。どちらを陽性とするかで値が変わる
陽性が極端に少ないデータ正解率:すべて陰性と答えるだけでも高くなるF1:陽性を1件も当てなければ0になる。見つける力の弱さが数値に出る
向いている場面正解率:クラスの割合が近く、どの誤りも同じ重さのときF1:陽性が少なく、取りこぼしと誤検出の両方を抑えたいとき

どこで迷っているかを切り分ける

01

「正解率98%」のモデルを見て良いモデルだと思った人

陽性が全体の2%しかないデータなら、全件を陰性と答えても正解率は98%になります。陽性を見つけられているかは、再現率かF1で確かめます。

02

F値と適合率・再現率の関係を式で聞かれる人

F1は適合率と再現率の調和平均です。2×適合率×再現率÷(適合率+再現率) と、2tp÷(2tp+fp+fn) は同じ値になります。

03

選択肢に「真陰性」が出てきて迷う人

正解率の式には真陰性が入り、F1の式には入りません。真陰性が多いほど正解率は上がり、F1は動かない、と覚えます。

04

適合率と再現率の差が大きいモデルの総合点を知りたい人

調和平均は低いほうに引きずられます。適合率1.0・再現率0.1なら、算術平均は0.55ですが、F1は約0.18です。

具体例で使い分ける

例 1

全件を陰性と答えるモデルと、陽性を見つけるモデルの比較(架空のデータ)

1000件のうち陽性が20件のデータで、2つのモデルを比べます。モデルAは全件を陰性と予測します。モデルBは陽性を12件当て、8件を取りこぼし、陰性のうち8件を陽性と誤って予測します。

  • モデルAは tp=0・fp=0・fn=20・tn=980 です。正解率は980÷1000=0.98、再現率は0、F1は 0÷(0+0+20)=0 です。
  • モデルBは tp=12・fp=8・fn=8・tn=972 です。正解率は984÷1000=0.984、適合率は12÷20=0.6、再現率は12÷20=0.6、F1は 24÷(24+8+8)=0.6 です。

結論: 正解率は0.98と0.984で、ほぼ差がありません。F1は0と0.6で、陽性を見つけられるかどうかがはっきり分かれます。数値は説明用の架空のデータです。

例 2

適合率と再現率が離れているときの調和平均

適合率が1.0、再現率が0.1のモデルがあります。

  • 算術平均なら (1.0+0.1)÷2=0.55 です。
  • F1は 2×1.0×0.1÷(1.0+0.1)=0.2÷1.1≒0.18 で、低いほうの再現率に引きずられます。

結論: どちらか一方だけが高くても、F1は高くなりません。両方がそろって初めて高くなります。

問題文から答えを選ぶ手順

  1. 1

    クラスの割合を確かめる

    陽性と陰性の件数がほぼ同じなら、正解率で全体像をつかめます。陽性が極端に少ないなら、正解率だけで判断しません。

  2. 2

    何を見つけたいかを決める

    陽性を見つけること自体が目的なら、再現率や適合率、その両方をまとめたF1を見ます。

  3. 3

    真陰性が式に入るかを確かめる

    正解率は真陰性を含み、F1は含みません。設問が真陰性の増減を聞いているなら、ここで見分けます。

  4. 4

    重みを変える必要を考える

    適合率と再現率の重みを変えたいときは、F1ではなく重みつきのF値(Fβ)を使います。βの考え方は設問の条件から読みます。

試験での見分け方

  • 1全体の当たりやすさは正解率、陽性を見つける力はF1で読む。
  • 2正解率の式には真陰性が入り、F1の式には入らない。
  • 3陽性が少ないデータでは、正解率が高くてもモデルが良いとは言えない。
  • 4F1は調和平均なので、適合率と再現率の低いほうに引きずられる。

誤答しやすい選択肢

正解率が高ければ陽性もよく見つけていると考える

修正: 正解率は真陰性も数えるので、陰性が大量にあると高く出ます。陽性の取りこぼしは再現率やF1で確かめます。

F1を適合率と再現率の単純な平均だと考える

修正: F1は調和平均で、低いほうの値に近づきます。適合率1.0・再現率0.1なら、算術平均は0.55、F1は約0.18です。

どちらを陽性としても同じ値になると考える

修正: 正解率は入れ替えても変わりませんが、F1は陽性側のクラスを基準に作るので、入れ替えると値が変わります。

確認問題

Q1tp=6、fp=4、fn=4、tn=986のとき、F1はいくつ?

答え: 0.6

2tp÷(2tp+fp+fn)=12÷(12+4+4)=0.6です。適合率も再現率も6÷10=0.6なので、調和平均も0.6になります。

Q2真陰性の件数だけが増えたとき、正解率とF1はどうなる?

答え: 正解率は上がり、F1は変わらない

正解率は分子と分母に真陰性が入ります。F1の式は真陽性・偽陽性・偽陰性だけで書けるので、真陰性が増えても値は変わりません。

Q3適合率と再現率の差が大きいとき、F1は算術平均より高い?低い?

答え: 低い

調和平均は低いほうの値に引きずられます。適合率1.0・再現率0.1なら、算術平均0.55に対し、F1は約0.18です。

到達チェック

  • 正解率の式に真陰性が入り、F1の式には入らないと言える
  • F1が適合率と再現率の調和平均だと言える
  • 陽性が極端に少ないデータで正解率だけを見てはいけない理由を言える

同じ資格で次に知りたいこと

よくある質問

Q正解率とF1は、どちらを使えばよい?

A

クラスの割合が近く、どの誤りも同じ重さなら正解率が読みやすい指標です。陽性が少なく、見つけることが目的ならF1や、適合率・再現率を並べて見ます。試験では、設問の条件(クラスの偏り・何を見つけたいか)で選びます。

QF1とF値は同じ?

A

F1は、適合率と再現率を同じ重みで扱うF値です。F値は重みβを変えたFβの形でも定義され、β=1のものがF1です。

QF1に真陰性が入らないのはなぜ?

A

適合率は tp÷(tp+fp)、再現率は tp÷(tp+fn) で、どちらも真陰性を使いません。その調和平均であるF1にも、真陰性は入りません。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)