データエンジニアリング力(データ蓄積)
DS検定のデータウェアハウス・データレイク・データマートの違い
DS検定のデータエンジニアリング力では、データを蓄積する場所の呼び名が出てきます。このページは、データウェアハウス、データレイク、データマートを、保存するデータ・スキーマを決める時期・利用者・規模の4項目で比べ、場面から選べるようにします。
3つの用語が似ていて選択肢で迷う人、ETLとの関係も一緒に整理したい人向けの内容です。
出題を予想するものではありません。
この記事の目次
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-10-02。
試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。
結論
- データウェアハウス(DWH)は、分析用に整理した構造化データを集める置き場で、保存する前にスキーマを設計する
- データレイクは、構造化も非構造化もそのまま保存でき、取り込む時点ではスキーマを決めない
- データマートは、特定の部門の用途に絞ったDWHで、ソースが少なく小さい傾向がある
- ETLは、さまざまなソースからデータを取り出し、変換して、DWHなどへロードする工程
- 見分けるポイントは、スキーマを決める時期と、対象が組織全体か部門かの2つ
スキルチェックリストの記載
データサイエンティスト協会がGitHubで公開しているスキルチェックリスト(データエンジニアリング力のdata_engineering.csv)には、このページの用語に関する次の項目があります。
- データマートやDWHなどの集中型データ基盤と、データファブリックやデータメッシュなどの分散型データ基盤の設計思想の違いを理解し、ユースケースや組織構造に応じて適切に選択できる(★)
- クラウド上のオブジェクトストレージサービス(Amazon S3、Azure Blob Storage、Google Cloud Storage、IBM Cloud Object Storage)に接続してデータを格納できる(★)
- クラウド上のDWHサービス(Amazon Redshift、Google BigQuery、IBM Db2 Warehouse、Microsoft Fabric Synapse Data Warehouse等)にロードして分析で利用できる(★★)
- BIツール用のサーバーを構築し、単一データソースのレポート用データマートを設計・構築できる(★★)
- 連携対象システムの仕様に合わせて、ETLツールなどを用いてデータ変換、ファイル転送処理を実装できる(★★)
DWHとデータマートは、チェックリストの本文に直接出てくる用語です。データレイクの詳しい定義は、このページではAWS公式の説明で補います。
4項目で比べる
AWS公式の「データウェアハウス、データレイク、データマートの違い」の説明を、4項目にまとめました。
| 項目 | データウェアハウス | データレイク | データマート |
|---|---|---|---|
| 保存するデータ | 構造化データ(分析用に整理済み) | 構造化も非構造化も、生のまま | 特定部門の主題に絞ったデータ |
| スキーマを決める時期 | 多くの場合、保存する前に設計する(分析時に書き込む方式もある) | 取り込む時点では決めない | データエンジニアが詳細を把握したうえで、ボトムアップで設計する |
| 主な利用者 | ビジネスアナリスト、データサイエンティスト、データデベロッパー | 上記に加え、データエンジニア、データアーキテクト | 特定のプロジェクトや用途に絞って使う |
| 規模と範囲 | 複数部門のデータを組織全体で統合 | 任意の規模、任意のデータ | ソースが少なく、サイズが小さくなる傾向 |
最初に見る行は「スキーマを決める時期」です。保存前に決めるならDWH、決めずに取り込むならデータレイクと、ここで分かれます。
データウェアハウス
AWS公式は、データウェアハウスを、より多くの情報に基づく意思決定を行うための、分析可能な情報のセントラルリポジトリと説明しています。データは、トランザクションシステムやリレーショナルデータベースなどのソースから、通常は定期的にデータウェアハウスに送られます。スキーマは、多くの場合データウェアハウスの実装前に設計されますが、分析時に書き込むこともできるとされています。
また、データウェアハウスは、トランザクションシステムと基幹業務アプリケーションから取得したリレーショナルデータの分析に最適化されたデータベースで、データ構造とスキーマの事前定義はSQLクエリが高速になるように最適化されます。先に構造を決めておくことが、分析を速く・安定して行える理由です。
データレイク
AWS公式は、データレイクを、規模にかかわらず、すべての構造化データと非構造化データを保存できる一元化されたリポジトリと説明しています。データをそのままの形で保存できるため、データを構造化しておく必要がありません。
基幹業務アプリケーションのリレーショナルデータに加えて、モバイルアプリケーション、IoTデバイス、ソーシャルメディアからの非リレーショナルデータも保存されます。データの構造やスキーマは、データをキャプチャした時点では定義されません。保存時に慎重な設計が要らず、この先答えが必要になりそうな質問を把握しておく必要もない点が、データレイクの特徴です。
データマート
AWS公式は、データマートを、企業の財務部門、マーケティング部門、営業部門など、特定のビジネスユニットのニーズに対応するデータウェアハウスと説明しています。通常のデータウェアハウスは複数のビジネスユニットのデータを組織全体から統合しますが、データマートは単一の主題に焦点を当てています。
データマートはソースの数が少なく、サイズが小さくなる傾向があります。多くの場合、既存のデータウェアハウスの情報をフィルタリングして要約します。スキルチェックリストにも、BIツール用のサーバーを構築し、単一のデータソースからレポート用のデータマートを作る項目があります(データ共有の分野、★★)。
場面から選ぶ
定義を、場面に当てはめると次のようになります(このページで整理した例です)。
| 場面 | 選ぶもの | 理由 |
|---|---|---|
| Webサーバーのログやアプリの画像・テキストを、まず生のまま全部ためたい | データレイク | 構造化も非構造化もそのまま置け、保存時に構造を決めなくてよい |
| 複数部門の売上データを整えて、組織全体で同じ数字を見たい | データウェアハウス | 複数のソースを統合し、分析用に構造化して保存する |
| 営業部だけが毎日使う集計用のデータ置き場を用意したい | データマート | 特定の部門の用途に絞り、ソースが少なく小さい |
AWS公式も、一般的な企業はデータウェアハウスとデータレイクの両方が必要になると述べています。業務レポートや分析には整えたデータが、機械学習や探索的な分析には生のデータが向くため、どちらが優れているかではなく、目的で使い分けるのが基本です。
データをDWHへ入れる前の変換の順序(ETLとELT)の違いは、別のページで整理しています。
問題文から読み取る
このページの内容から導いた読み方です。出題を予想するものではありません。
- 「構造化データを、保存する前に設計したスキーマで整理する」とあれば、データウェアハウス
- 「構造化も非構造化も生のまま保存し、スキーマは取り込み時に決めない」とあれば、データレイク
- 「特定の部門向けに絞った小規模なデータ基盤」とあれば、データマート
- 「ソースからデータを抽出し、変換して、ロードする」とあれば、ETL
- 「集中型のデータ基盤と分散型のデータ基盤の設計思想の違い」とあれば、DWH・データマートが集中型、データファブリック・データメッシュが分散型
DS検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
データウェアハウスとデータレイクの一番大きな違いは何ですか?
データを保存する前に構造(スキーマ)を決めるかどうかです。AWS公式は、データウェアハウスではデータを保存する前にスキーマを設計する必要があり、構造化データだけをロードできると説明しています。一方、データレイクではデータを取り込む時点でスキーマを定義せず、構造化データも非構造化データも生のまま保存できます。
データマートは、データウェアハウスとは別のものですか?
AWS公式は、データマートを企業の財務・マーケティング・営業など特定のビジネスユニットのニーズに対応するデータウェアハウスと説明しています。別の種類というより、範囲を部門に絞ったものです。ソースが少なく、サイズが小さくなる傾向があり、既存のデータウェアハウスの情報を絞り込んで要約して作ることが多いとされています。
ETLは、どこで使うのですか?
データをデータウェアハウスなどに入れる工程で使います。AWS公式は、データウェアハウスにはさまざまなソースからデータを抽出し、構造化された形式に変換してロードできると説明しています。スキルチェックリストにも、連携先システムの仕様に合わせてETLツールなどでデータ変換とファイル転送の処理を実装できる、という項目があります。
BigQueryやRedshiftは、どれにあたりますか?
スキルチェックリストは、Amazon Redshift、Google BigQuery、IBM Db2 Warehouse、Microsoft Fabric Synapse Data Warehouseを、クラウド上のDWHサービスの例として挙げています。クラウド上のDWHにロードして分析に使えること(★★の項目)が、データエンジニアリング力に含まれています。
データファブリックやデータメッシュは、このページの3つとどう違いますか?
スキルチェックリストは、データマートやDWHなどの集中型のデータ基盤と、データファブリックやデータメッシュなどの分散型のデータ基盤について、設計思想の違いを理解し、ユースケースや組織構造に応じて選べることを挙げています。チェックリストが集中型の例として挙げているのは、DWHとデータマートです。
