AI事業者ガイドライン
AI開発者・AI提供者・AI利用者とは(3主体の違い)
AI事業者ガイドラインは、AIに関わる事業者を3つの主体に分けて、取り組むべきことを整理しています。3主体は、AIを開発する事業者、組み込んで提供する事業者、事業で使う事業者の3つです。
このページは、総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」の記載の範囲で、3主体の定義、役割の違い、兼ねる場合と対象外の人を整理しています。
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-08-31。
試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。
結論
- AI開発者は、AIシステムを開発する事業者(研究開発を含む)
- AI提供者は、AIシステムを製品やサービスに組み込み、AI利用者などに提供する事業者
- AI利用者は、事業活動でAIシステムやAIサービスを利用する事業者
- 同じ事業者が複数の主体を兼ねる場合があり、一般消費者などの業務外利用者は3主体に入らない
3主体の定義と役割
ガイドラインは、3主体それぞれに、定義と役割を置いています。
| 主体 | 定義 | 主な役割 |
|---|---|---|
| AI開発者(AI Developer) | AIシステムを開発する事業者。AIを研究開発する事業者を含む | AIモデルやアルゴリズムの開発、データ収集(購入を含む)、前処理、AIモデルの学習と検証を通して、AIシステムを構築する。実運用後も、環境変化への対応や、人間の意図や価値観に沿わせる調整(アライメント)を目的とした事後学習(Post Training)で、性能を維持・改善する |
| AI提供者(AI Provider) | AIシステムを、アプリケーションや製品、既存のシステム、ビジネスプロセスなどに組み込んだサービスとして、AI利用者、場合によっては業務外利用者に提供する事業者 | AIシステムの検証、他システムとの連携の実装、AIシステム・サービスの提供、AI利用者側の運用サポートまたはAIサービスの運用そのものを担う。提供に伴い、さまざまなステークホルダーとのコミュニケーションが求められることもある |
| AI利用者(AI Business User) | 事業活動において、AIシステムまたはAIサービスを利用する事業者 | AI提供者が意図する適正な利用を行い、環境変化などの情報をAI提供者と共有して、正常稼働を続けるか、必要に応じて、提供されたAIシステムを運用する。業務外利用者に影響が出うる場合は、AIによる意図しない不利益の回避と便益の最大化に努める |
一次資料: 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」p.5
見分け方
定義の中の動詞に注目すると、3主体を区別できます。
- 開発する(モデルを作る、学習させる、検証する)なら、AI開発者
- 組み込んで提供する(アプリや製品に入れて渡す、運用を支える)なら、AI提供者
- 事業で使う(提供されたAIを業務で使い、正常に動かし続ける)なら、AI利用者
AIを「作る側」「届ける側」「使う側」の順に、開発者・提供者・利用者が並ぶと覚えると整理しやすくなります。この対応づけは、定義の動詞をまとめたこのページの整理であり、ガイドラインがこの言い方を使っているわけではありません。
役割の中身にも違いがあります。AI開発者は、運用開始後も事後学習で性能を維持・改善する点が特徴です。AI提供者は、AI利用者側の運用サポートまで担いうる点が特徴です。AI利用者は、環境変化などの情報をAI提供者に共有する点が特徴です。つまり、情報は提供者と利用者の間で行き来します。
場面に当てはめる
場面に当てはめると、次のようになります。これは定義にあてはめたこのページの例で、ガイドラインの事例ではありません。自社でモデルを学習させて公開する会社は、AI開発者です。既存のAIシステムを自社のアプリや業務の仕組みに組み込み、顧客へサービスとして渡す会社は、AI提供者です。提供されたAIサービスを、自社の業務で使う会社は、AI利用者です。
1社が、自社開発のモデルを自社アプリに組み込んで顧客に渡す場合は、開発者と提供者を兼ねます。選択肢では、会社の名前ではなく、問われている場面の動詞から主体を決めます。
兼ねる場合と対象外
ガイドラインの整理では、対象は3主体で、同一の事業者が複数の主体を兼ねる場合があります。公的機関も対象に含まれます。
一方、業務外利用者(一般消費者など)とデータ提供者は、3主体の対象に入りません。ガイドラインの脚注9は、業務外利用者がAI利用者の指示や注意に従わない場合、何らかの被害を受ける可能性があることに留意する必要があると付け加えています。
AI利用者の役割には、業務外利用者への影響を考える務めが含まれます。AI利用者は、業務外利用者に影響が出うる場合、AIによる意図しない不利益の回避と便益の最大化に努めるとされているためです。
ガイドラインそのものの位置づけは、法的拘束力を持たない非拘束的なソフトローです。法律との違いはAI推進法とAI事業者ガイドラインの違いに整理しています。
このページは3主体の全体像を扱う総論です。AI提供者とAI利用者の2者だけを取り違えやすい場面の見分け方はAI提供者とAI利用者の違いで、用語の短い定義は用語集のAI開発者で確認できます。
シラバスのどこに出るか
2026年2月試験より適用の公式シラバスでは、第4章「情報リテラシー・基本理念とAI社会原則」の中項目「AIを取り巻く理念と原則・ガイドライン」のキーワードに、AI開発者、AI提供者、AI利用者が載っています。同じ項目には、AI事業者ガイドライン、業務外利用者、共通の指針(10項目)なども並びます。2027年2月試験より適用の版では、第4章の中項目「AI倫理とAI事業者ガイドライン」が、ガイドラインの共通の指針(安全性、公平性、プライバシー保護など)を扱います。
3主体は、ガイドラインの位置づけや共通の指針と同じ項目に並ぶ語です。ただし、試験での出題を予想するものではありません。シラバスの該当箇所は2026年版シラバスのページでも確認できます。
よくある質問
AI開発者・AI提供者・AI利用者は、どう見分ければよいですか?
ガイドラインの定義の動詞で見分けます。開発するのがAI開発者、組み込んで提供するのがAI提供者、事業活動で使うのがAI利用者です。
1つの会社が、AI開発者とAI提供者を兼ねることはありますか?
あります。ガイドラインの整理では、同一の事業者が複数の主体を兼ねる場合があります。会社の種類ではなく、その場面でどの役割を担っているかで区別します。
一般の消費者は、AI利用者に当たりますか?
当たりません。AI利用者は「事業活動において」AIを利用する事業者です。事業活動の外でAIの影響を受ける人は、ガイドラインでは業務外利用者として別に扱われ、3主体の対象には入りません。
AI事業者ガイドラインは、法律ですか?
法律ではありません。総務省と経済産業省の連名で、法的拘束力を持たない非拘束的なソフトローとして示されています。法律との違いは別のページで整理しています。
第1.1版と第1.2版で、3主体の定義は変わりましたか?
このページは第1.2版(令和8年3月31日公表)の記載を確認して書いています。2026年2月試験より適用のシラバスのキーワード表記は第1.1版を指しているため、版の数字を問う問題より、3主体の役割の区別を押さえるほうが確実です。
この記事の範囲を3問で確かめる
3主体はシラバスの「第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則」に並ぶ語です。この章の問題(全145問)から3問を解けます。

